2005年02月28日
●神鬼「神鬼芸術」
元コンディショングリーンのギタリスト神鬼のソロアルバム(1993年後半リリース?)。このCDを知ったのは一昨年、石垣島の根間楽器でだった。以前から何人かの知人に「シンキ」というスゴいミュージシャンがいると聞いていたのだが、うかつにも「シンキ」=「神鬼」だとはしばらく気付かなかった。ジャケットは神鬼が書いた楽譜だそうだが、それは五線譜ではなく、いわば前衛的絵画のような奇怪なものだ。そのため、曲もまた現代音楽的なのではないかとつい身構えてしまう。しかし、それぞれの曲は決して奇をてらったものではなく、素直にすんなりと心に響いてくるものばかりだ。
たとえば4曲目に納められた「津軽」は、深い雪に埋もれながらもその下で胎動する大地の力強い鼓動を感じさせるもので、神鬼が沖縄から「津軽」をどう思い描いているか興味深く聴いた。同様に他の曲でも力強さとともに優しさや暖かさが感じられるものが多い。しかし、最後の6曲目の「祈り」は他の曲と一線を画し、その演奏の一瞬一瞬が鬼気迫る緊迫感であふれ、神鬼が全身全霊をかけて瞬間的に曲を生み出していることが実感できる。
CDは現在、神鬼のライブ会場か、根間楽器の通販でしか手に入らないようだ。また、神鬼は一昨年まで石垣島で私塾を開いていたはずだが、その後どうしているかは情報不足でわからない。ただ、コンディショングリーン時代からのファンがいまなお神鬼を慕い、たまに大阪などでライブセッションもしているようだ。まだ生で演奏を聴いたことがないので、ぜひ一度ライブハウスで聴ければと思っている。
追記:↑こう書いた翌日に、神鬼がライブに出演する情報を入手。3月13日に那覇のCLUB D-SETで開催される「MONSTER'S ROCK」というイベントに参加とのこと。
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