2003年01月23日

●佐渡山豊 in 北海道立文学館

1/18、札幌の北海道立文学館で、佐渡山さんのCD「イタリアンブーツ」に収録の「4人のゲリラ」の詩人江原光太さんの出版記念会。題して「ふぶきの中の朗読・コンサート」。二十数年前、佐渡山さんはアイヌ民族活動家の結城庄司さんから江原さんの詩「4人のゲリラ」に曲をつけるよう依頼された。その後、結城さんは若くして亡くなり、江原さんとも音信不通だったが、2001年ついに江原さんを探し当てる。そして実現した今回の共演。会場には、江原さんの文学仲間を中心に多くのお客さんが集まった。

会の前半は、江原光太さんと矢口以文さんの自作詩朗読。詩人の矢口さんは、アメリカ文学を専門とする教授でもあり、江原さんとは詩を通して長いおつきあいとのこと。今回披露した詩は、出身地の東北なまりでつづったちょっぴりユーモラスかつシニカルな作品。江原さんも一番前の席で、ときおり笑顔になりつつ、感慨深げに聞き入っていた。

続いて、その江原さんの朗読。ご高齢のはずが、朗々と声を張り上げる姿は、いまだ闘志冷めやらずといった感じ。2年前に佐渡山さんとともにお会いしたときよりも、さらに元気になられた印象を受ける。今回出版された『北極の一角獣』(響文社刊)は、7年ぶり10冊目の詩集となるが、今回は本人による朗読CD付きというのがスゴイ。友人の彫刻家砂澤ビッキ氏(故人)についてつづった詩が個人的に興味深く、今回の朗読会で聞けたのがうれしかった。

次に佐渡山さんの登場。おそらくこの日の大半のお客さんが佐渡山初体験。その人たちを前にしての最初の歌は「石敢當」。ちょっと意外だったが、この場このときにそうさせる何かがあったのだろうと推察。山之口貘の詩に曲をつけた「紙の上」「会話」そして佐渡山版「十九の春」などが、今回のお客さんたちには(その客層を考えると)印象に残ったのではないだろうか。最後は「どぅちゅいむにぃ」に続いて、今回のきっかけとなった「四人のゲリラ」。江原さんの詩と佐渡山さんの曲との出会いの必然性に想いをめぐらす。今回の歌を聴いて、詩の印象を新たにした江原さんの読者も多かったのではないだろうか。

佐渡山さんのあと、再び江原さんと矢口さんが詩を朗読。また、詩人の戸塚美波子さんもお祝いの挨拶に立つ。滅多に人前には出ない戸塚さんなので間近で見るのは初めて。思わず緊張。同じく街にはなかなか出ないという浜益村在住の縄文造形家猪風来(いふうらい)さんも熱がこもった挨拶を江原さんに贈る。

閉会後は、狸小路の仔羊亭(詩人の忠海さんの店)に移って「佐渡山豊を囲む会」と称した打ち上げ。結城庄司さんのご子息である幸司さんと、サシで熱く語り合う(というか語られる)。幸司さんとは、7、8年前に東京で知り合ったのだが、その後札幌に移り、「アイヌ・アート・プロジェクト」というアート集団を立ち上げ、代表としてがんばっている。正直言って、東京にいた頃とは見違えるほど(失礼?)言動がしっかりしていて頼もしい。佐渡山さんの歌に強く感じるところがあったようで、今回思い切って連絡したかいがあった。再会の記念に自作の版画をいただく。最後に江原さんを囲んで佐渡山さん、幸司さん、高橋さん(響文社代表)、川平さん(沖縄出身羽幌在住流木アーティスト)、忠海さん、松尾真由美さん(詩人)、猪風来さん(縄文造形家)らそうそうたるメンバーで記念撮影。いやこりゃすげー。

Posted by nonkar at 2003年01月23日 09:09
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