2003年04月28日

●NHK沖縄の歌と踊りのつどい in 具志川市民芸術劇場

4/27、具志川市民芸術劇場で「第55回NHK沖縄の歌と踊りのつどい」の公開録画。宮良長包生誕120年と山之口貘生誕100年を記念した催しで、出演は佐渡山豊 with ローリー&ノーリー、大工哲弘さん、ほか。

第一部は「宮良長包の世界」と題し、前半は「赤ゆらの花」「首里古城」などの宮良作品をオペラ歌手が朗々と歌い上げる。「桑の実」「大鷹小鷹」「唐船」では、メゾ・ソプラノ歌手の兼嶋麗子さん(映画「なびぃの恋」の!)が出場し、力強い美声で会場をふるわせた。

後半、いよいよ佐渡山豊さん登場。なぜかリハーサルのときと違ってモジャモジャなカツラをつけている佐渡山さん、遊んでるな〜。1曲目の「泊り船」は、ギター一本でゆっくり言葉をかみしめるように歌う。しんみりと情感たっぷり。続いてローリーさん(gt)とノーリー儀保さん(perc)が加わり、一転して賑やかに「稲刈り歌」。ん〜、ローリーのアコースティックギターがうねる!佐渡山さんの野太い声、そしてダイナミックに原初的なリズムを刻むノーリーの太鼓が加わることで、広いアジアの世界とのつながりを想起させるアレンジとなった。

トリは大工哲弘さん。「荒磯の歌」「汗水節」「なんた浜」「えんどうの花」といった宮良長包の代表作を、大工さんの味のある声で聴かせてくれる(笛:屋嘉部充、ギター:矢野憲治、コーラス:大工苗子&玉城杉子)。ちなみに、後日この宮良作品を集めたCDが出る予定らしい。

第二部は「山之口貘の世界」。5人の音楽家それぞれが、独自に貘の詩につけた曲を発表するという趣向。前半3組(瑞慶覧尚子、新垣雄、杉本信夫作曲)は、オペラ歌手による歌曲。新垣雄さんの作品では、同じマザーアースの與那嶺理香さんがバイオリン担当。杉本信夫氏の作品では、再び兼嶋麗子さんが登場。

4組目に登場の大工さんは高田渡作曲の「座蒲団」と「生活の柄」を演奏。ピアノで桜沢有理さんが加わる。大工さんの「生活の柄」は、味があるんだよな〜。

5組目は佐渡山豊 with ローリー&ノーリー。「貘」「会話」「紙の上」。「会話」は、普段よりもかなりスローなアレンジ。ギターはローリーに任せて、訥々と語るように歌う。この抑えめの語り口が、嘆き、悲しみ、そしてユーモアが交錯する原詩の魅力を逆に際だたせる。「紙の上」では、ガラッと変えて迫力あふれるステージ。シャウトする佐渡山さんに合わせて、ローリーのギターがうなる!ノーリーの激しいドラムとともにグルーブは最高潮へ。最後には、それまで身動きしていなかった観客も手拍子をとり、佐渡山さんもリハーサル無視(やっぱり)で立ち上がってステージのセリまで出てアピール。「Thank you!!!」。あ〜、やっちゃったよ。NHK的にはオッケーだったようだけど。

第二部最後の演目は、「NHKテレビ実験放送『沖縄舞踊』復活上演」。これは、1952年9月5日午後3時半〜4時に実験放送されたもので、山之口貘が自身の作品をもとにみずから出演し、琉球舞踊を紹介していくという番組だったらしい。今回は完全な再現というわけでなく、沖縄の将来を憂う貘という視点で、幸喜良秀さん(沖縄演劇界の重鎮)が演出して再構成。歌と演奏は伊波貞子さん、伊波久美子さん(フォーシスターズ)ほかで、舞踊は、當銘由亮さん、比嘉いずみさんほか。また、貘役に小波津隆さん。美しい琉球舞踊とともに「琉球よ沖縄よ今度はどこへ行くというのだ」という貘の言葉が重く心に響く舞台だった。

なお、この録画は今後数回に分けて沖縄ローカルの番組で放送するらしい。NHK-BSでもダイジェストで放送の予定。

Posted by nonkar at 2003年04月28日 14:30
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